契約リスク管理とは?リスクの種類と管理方法・対策を解説

契約リスク管理とは?リスクその種類とリスク管理の方法・対策を解説

契約に潜むトラブルや損害につながりかねない危険な要素を「契約リスク」と呼びます。

契約リスクを放置することは、取引上の損失や損害賠償、会社の社会的な信用の低下などにもつながりかねません。契約リスクを低減するために、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

当記事では、契約リスクの種類と、リスク管理の方法・対策について解説します。

契約リスクを管理する重要性

契約リスクには、契約書の内容となる取引上のリスクや、契約書の管理におけるリスクが含まれています。いずれのリスクも会社の経済的損失や社会的信用の低下につながりかねない危険な要素です。

契約リスクをゼロにすることは現実的ではありませんが、適切に管理すれば大部分を低減できます。

例えば相手方の作成した契約書の細部にまで目を通さずに締結してしまうなど、契約リスクの確認が甘かったことが原因で、自社に損失が発生するという事態は避けたいところです。

契約リスクの把握と管理が十分にできていれば、締結前に相手方と交渉して条文を修正するなど、リスクを低減させる対応がしやすくなります。契約リスク管理の体制を十分につくることは、自社を損失から守り、利益を確保するために重要な活動の一つだといえます。

契約に潜むリスクの種類

では具体的に、どのような契約リスクがあるのでしょうか。契約に潜むリスクの種類として、主に次の4つが挙げられます。

  • 不利な条件が含まれるリスク
  • トラブルの際に損失が発生するリスク
  • 必須項目が不足しているリスク
  • 契約管理の不備によるリスク

上記のリスクについては以下で解説していきます。

不利な条件が含まれるリスク

一つは、契約書の内容に「自社にとって不利な条件」が含まれているリスクです。相手方が一方的に有利な条件で契約を締結してしまうことで、取引上の損失が発生しやすい状態になってしまう場合があります。

このリスクを回避するには、契約の締結前に十分な確認・レビューをして、条件修正のための交渉を行うことが有効です。

条件のチェックに際しては、取引条件についての「ビジネス面」からのチェックと、「法律面」のチェックの双方を行います。必要に応じて修正を行い、不利な条件がないようにしておきましょう。

トラブルの際に損失が発生するリスク

契約内容に問題があると、トラブル時の損失が大きくなるリスクもあります。

契約内容はスムーズに進行できるとは限らず、契約不履行などのトラブルが発生する可能性をゼロにすることは現実的ではありません。とはいえ契約書であらかじめ責任の所在や損害賠償の範囲が決められていないなら、トラブル解決が遅れ損害が拡大するなどの問題にもつながりかねません。

トラブルおよびトラブルの際に損失が発生するリスクには、契約書の条項で十分に備えておきましょう。リーガルチェックにより、トラブル解決のために必要な条項を加えておくことで対策できます。

損害賠償条項・損害賠償額の予約などは、トラブルを想定した条項の代表例です。その他、必要に応じて保証条項や知財保証、介入権など、取引類型に応じた条項を挿入します。

さらに、契約の終了事由となる取引トラブルを具体的にあげておくことも必要です。

基本条項には、調停・仲裁など紛争解決手段と管轄裁判所等に関する条項、海外取引の場合は準拠法も記載しておきましょう。

必須項目が不足しているリスク

法令で定められている「必須項目」が契約書に不足している場合、罰則が課せられるリスクや、契約が無効になるリスクがあります。

必須項目が決められている契約書類の例として、以下の3つがあります。

  • 下請法第3条書面
  • 労働条件通知書
  • 消費者契約関連の書類

「下請法第3条書面」は記載事項が決まっているため、項目の抜けがあると下請法違反となり、罰則が課されることがあります。

「労働条件通知書」の明示義務に違反した場合も、罰則があります。(労働基準法第15条第1項、第120条第1号)

「消費者契約」に関し、キャンセル条項についての記載は慎重に行う必要があります。取引のキャンセル期間の記載が抜けてしまい、キャンセルはできない旨のみを記載した場合、契約が無効になる可能性があります。(消費者契約法第8条の2)

こうした必須項目が不足しているリスクを回避するには、作成する契約書に関連する法律を確認しておくことが重要です。さらに弁護士などの専門家、あるいは専門職員のいる法務部によるリーガルチェックを実施することも役立ちます。

契約管理の不備によるリスク

契約管理の不備によって生じるリスクがあります。例えば契約書の「有効期限切れ」のために取引ができなくなるリスクです。また、不要な契約が自動更新されるのを放置してしまい、料金や代金を支払い続けてしまう金銭的なリスクもあります。

このようなリスクを回避するには、台帳に契約情報を一元化して、いつでも更新時期や、有効・無効のステータスを確認できるようにすることが有効です。また「自動リマインド」の機能がある契約管理システムを導入し、契約の更新時期が近づくと自動的に通知を出すように設定しておくことも役立ちます。

更新時期の管理について詳しくは、下記「契約締結後の更新タイミングを管理する」を参照してください。

電子契約にまつわるリスクの種類

電子契約とは、紙に代えて電子データで契約締結を行うことです。契約リスクは、紙での契約と電子契約では異なる部分があります。電子契約特有のリスクについても、適切な方法で管理することが可能です。

電子契約に特有の主な3つのリスクとその管理方法について、紙の契約書との比較も交えて解説します。

契約書を改ざんされるリスク

電子契約では、電子データで契約書を作成するため、紙の契約書とは異なる方法での「改ざん」が発生するリスクがあります。契約書のデータが不正に書き換えられて情報が失われてしまい、正しい契約内容が分からなくなるなどのリスクです。

電子的なデータは紙よりも簡単に修正でき、対策をしなければ履歴も残らないため、後から改ざんされたことを検証することが難しくなってしまうリスクがあります。

この点の対策は、改ざん防止効果のある電子署名やタイムスタンプを利用することで対応できます。

情報漏えいのリスク

電子契約書は、社内のシステムやクラウド上に保管されます。社内システムでも、インターネットと接続されているケースが大半です。このことから、サイバー攻撃や、不正アクセスによって契約情報が漏えいするリスクが考えられます。

これらの問題には、セキュリティが堅牢なサーバを使い、契約書データへのアクセス権限を徹底管理することにより対応できます。また信頼性の高いクラウドサービスでも十分な対策が可能です。

紙の契約書は、持ち出してしまうことによる情報漏えいリスクも考えられます。さらに誰が持ち出したのか、トレースしにくいという点も、紙の契約書のデメリットです。電子契約であれば、アクセスログなどで誰がアクセスしたかを監視でき、内部不正による情報漏えいの対策が容易です。

【今回作成する「契約書 電子化」の記事へ内部リンク】

契約の有効性に疑義が生じるリスク

電子契約には、権限のない人が処理してしまい、契約締結権限に疑問が生じるリスクがあります。権限がない人が電子署名を行ってしまうと、契約が無効になる可能性もあります。

権限がある人のみが電子署名をするように管理することが対応策です。そのためにはアクセス管理を徹底する必要があります。PCには本人以外のアクセスができないようにすることはもちろん、電子契約システムへのアクセス制限を適切に行いましょう。

代理での電子署名を禁止するなどのルールを徹底するだけでなく、契約締結の操作は権限者の承認を必須とする設定にするなど、システム上の防止策を講じることが重要です。

書面化義務がある契約書も電子化してしまうリスク

法令で紙の書面の作成を義務づけられている契約書を、電子データのみで作成してしまうリスクもあります。

書面化の義務がある契約書の例は以下のとおりです。

  • 事業用定期借地契約(借地借家法第23条第3項)
  • 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約(企業担保法第3条)
  • 特定商取引法で交付義務のある書面(特定商取引法第4条・第5条)

「事業用定期借地契約」や「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」については、公正証書を作成する必要があるので、電子契約にはできません。

また、消費者に対して交付することが「特定商取引法」で定められている書面も、電子交付できない例です。ただしこの書面は将来的に電子交付できるようになることが予定されています。

法令改正によって電子契約ができる契約書が増えていることから、今後このリスクは低減していくものと考えられます。

契約リスク管理の進め方

契約リスクを管理し、そのリスクを最小化するためには、どのような管理体制をとる必要があるのでしょうか。契約リスク管理の進め方について、3つのポイントを解説します。

契約締結の前にリスクを排除する

新しく作成する契約書については、内容を十分に精査し、リスクのある契約を締結しないようにすることがリスク管理の基本です。取引内容のチェックやリーガルチェックを実施して、条項と文言の検討・修正を行うことでリスクを排除していきます。

締結前の契約リスク管理には、コミュニケーションが重要です。全ての契約で「自社に有利」な契約を結ぶことは現実的ではありません。双方にとって納得のいく条件に落とし込むことが重要ですが、そのためには密接なコミュニケーションと交渉が求められます。

契約書の作成やチェック、取引先との交渉といった一連の業務フローで問題点を洗い出し、リスクをできるだけ排除していくことが重要です。

契約締結後の更新タイミングを管理する

締結した後に契約書を適切に管理し、期限切れや不要な自動更新が行われないようにすることもポイントです。そのためには、契約の更新タイミングを把握・管理する必要があります。

更新タイミングを管理する方法の一つは、エクセルの契約書管理台帳による一覧化です。ただしエクセルには契約の更新時期を自動的に通知できる機能がないため、常に台帳を確認しながら管理する必要があります。

自動的に更新時期を通知するリマインド機能を利用したい場合は、契約管理システムの導入が有効です。契約管理システムとは、契約や関連する情報をクラウド技術などで一元管理できるシステムのこと。契約管理システムの中には、更新時期が近づいたことを自動メールなどで知らせてくれるものがあります。

契約管理システムについて詳しくは、下記「契約リスク管理に契約管理システムを導入するメリット」を参照してください。

契約締結後に契約上の義務違反が生じないようにする

契約締結後、有効期間中に自社が負っている義務の違反が生じないようにすることもリスク管理には必要です。

契約上の義務への違反は、違約金の支払いや損害賠償の請求といった金銭的な損失につながることがあります。さらに信用の低下や取引の終了などにもつながりかねないため、対策は必須です。

支払期限の管理・納品物の管理など、取引関連業務を適切に行うことが効果的ですが、前提となるのが契約書の適切な管理です。

そのためには、契約書の内容を全文検索できるようにすることが役立ちます。AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」では、契約書の条文を単語レベルで検索可能です。契約内容の把握がしやすくなり、支払期限の管理など、契約上の義務違反が生じないようにする体制をつくることができます。

契約リスク管理のためにできる具体的な対策

契約リスク管理を低減するために、契約書の締結・締結後の管理の場面では次のような対策をしておきましょう。

リーガルチェック体制を構築する

社内の法務担当者や、専門家などによる契約書チェックの仕組みや業務フローを整えておくことが契約リスク管理には必要です。

チェックする人員・チェックする組織、あるいは外部の専門家への依頼方法など、必要な事項をルール化しておきます。業務フローを作成したら、社内に分かりやすく案内することもチェック漏れを防ぐために重要なポイントです。

契約管理システムを導入する

契約管理システムを導入することも契約リスク管理対策に有効です。

契約管理システムなら、契約リスク管理に必要な「契約書の検索」や「期限管理」などがしやすくなります。

担当者の割り振りや契約の進捗管理なども、契約管理システムで一元管理することで、トラブルなくスムーズに進むような体制を構築することが可能です。

契約管理システムのメリットについて詳しくは、次の項目で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

契約リスク管理に契約管理システムを導入するメリット

契約管理システムの導入は、契約リスク対策の中でも特に役立つものです。そのメリットについて、以下に詳しく紹介します。

契約違反が生じそうな契約書を網羅的に検索できる

契約書の内容を検索できる機能は、契約リスク管理で大いに役立つ機能です。

LegalForceキャビネでは、契約書に含まれる単語などのキーワードで契約書の内容を検索できます。例えば契約不履行が生じそうな条項に絞って検索を行い、契約書の中身をスピーディーに確認することが可能です。

契約書に記載されている契約相手や、期限納品物情報などの条件でも横断的に検索できます。トラブルの発生時には、必要な契約書をすぐに検索して内容を確認でき、問題に対する迅速な対応がしやすくなります。

契約書の更新期限を把握できる

契約書の更新期限を管理しやすいという点も、契約管理システムのメリットです。

LegalForceキャビネでは、契約の終了や更新に関する期日を、自動メールでリマインドする機能があります。担当者がリマインドを見ることで対応忘れを防ぐことができ、不要な契約の更新や、重要な契約の更新忘れによるトラブルを防止できます。

各契約書に担当者を割り当てることができる

担当者の割り振りがしやすくなり、担当責任の所在を明確にできることも契約管理システムのメリットです。

LegalForceキャビネでは、契約書ごとに「担当者」を設定でき、契約書の管理を担う担当者が一目で分かるように管理できます。

契約書全体の管理担当者から、各契約書の担当者に連絡をして対応を促すことも容易です。契約業務の全体を俯瞰的に管理しやすくなり、締結済み契約書の放置などの問題を防ぐことにもなります。

リスクがある契約書をモニタリングできる

数ある契約書の中から「特にリスクのある契約書」を洗い出す作業がしやすいというメリットもあります。

LegalForceキャビネでは、特にトラブルが生じるリスクがあると判断される契約書にフラグを付けてモニタリングすることが可能です。

一覧ではフラグを付けた契約書と、そうでない契約書が分かりやすく区別され、フラグ付きの契約書だけに絞り込んで表示することもできます。

リスクの高い契約書の管理がしやすくなり、対応の遅れや抜けの防止につながります。

契約リスク管理なら「LegalForceキャビネ」

契約リスクの管理は、ビジネス上の機会損失損害賠償などの大きな損失を避けるために重要です。契約リスク管理には、契約内容そのもののリスクと、契約書の保管・管理におけるリスクを低減することが含まれます。

契約管理システム「LegalForceキャビネ」なら、リスクのある契約書の抽出を効率的に実施でき、自動リマインド機能によって更新忘れなどのリスクも防止できます。

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