契約書を電子化するメリットとは?電子契約の導入方法や注意点を解説

契約書を電子化するメリットとは?電子契約の導入方法や注意点を解説

契約書の電子化は、今では多くの企業が導入しています。これからの導入を検討している企業も多いでしょう。

この記事では、契約書を電子化するメリットと、導入方法・注意点について解説します。紙の契約書との違いや、電子契約の締結の流れなども具体的に解説しているので、導入検討の参考にしてください。

電子契約書と紙の契約書の違い

契約書の電子化とは、従来の紙での作成・締結ではなく、電子データで契約書を作成・締結することです。このような契約方法を「電子契約」と呼び、一般的には「電子契約システム」と呼ばれるITツールによって締結されます。

電子契約書と、紙の契約書はさまざまな点で異なります。違いをまとめると、以下の表のとおりです。

紙の契約書

電子契約書

送付方法 郵送・手渡し メール
締結方法 署名捺印または記名捺印 電子署名
保管方法 書庫・キャビネットなど PC・サーバ・クラウドなど
検索性
日時の証明 契約書の記載から推定する タイムスタンプ

検索性についての電子契約のメリットは、システム上で容易に検索できるという点です。紙の契約書のように書類を探す手間をかけず、キーワード検索などで効率的に、必要な契約書を探し出すことができます。

さらに電子契約はオンラインで締結できるので、紙の契約書のように契約書作成のためにオフィスなどへ出かける必要がなく、リモートワークでも契約業務が可能です。

契約書の電子化のメリット

電子契約を導入して、紙の契約書を作成しないことには、上記の表からも多くのメリットがあることが分かるでしょう。特に重要な5つのメリットについて、以下に解説します。

スピーディな契約締結ができる

電子契約は、契約書の郵送での送付を待つ必要もなく、契約書データが瞬時に送付先に届き、署名者も移動することなくPC上で作業を完結できます。契約を急ぎで締結したいときにも、リードタイムは「当日数時間のみ」ということさえ可能です。

業務の可視化になる

契約業務の進捗が可視化され、全体を把握しやすくなることもメリットです。

電子契約では、ドラフト中であるか、社内承認済みであるかあるいは署名者の署名待ちかなど、ステータスの管理が容易です。このため、承認漏れ・チェック漏れなども防ぎやすくなります。紙の場合に、物理的に社内を移動する紙の可視化は難しいことがあるのとは対照的です。

社内手続きへの準拠状況もチェックでき、コンプライアンス強化にも役立ちます。

紙の書類を保管・管理する手間とコストを削減できる

紙の書類を作成するコストや、収入印紙代などの費用をカットできることもメリットとして挙げられます。

印紙税法は「文書」に対して課税するものですが、電子データである電子契約書は非課税とされています。

また、保管するキャビネット・書庫などが不要になり、省スペースになる点もコストカットになる点です。キャビネットの購入費用や、書庫の賃料などのコストが削減できます。

ファイルサーバやシステム上での管理は、書庫で契約書類を保管・管理する場合と比べると、メンテナンスや整理の手間がかからないという点もメリットです。

情報の検索・共有がしやすい

電子化された契約データは検索しやすく、必要な契約書を容易に見つけられます。契約書の内容・契約書ファイル名などの検索条件で、システムやファイルサーバ上で検索できます。

クラウドへの保管ならオンラインからアクセスできるので、アクセス権限のあるメンバーならどこからでも契約書情報を閲覧でき、共有がしやすいこともメリットです。オンラインで契約業務の大部分を進めることができるため、リモートワークの導入にも役立ちます。

各種サービスと連携できる

電子契約システムを他のサービスと連携させることで、さらなる業務効率化が可能です。

例えば「契約書管理システム」との連携です。契約書管理システムとは、契約書の一元管理や検索、期限管理などができる管理ツールです。

契約書管理システムと電子契約システムを連携させることで、電子契約のドラフト作成から、電子契約の締結、さらに保管管理までシステムで一元化できます。

他にも顧客管理システム(CRM)と連携させ、顧客データベースを利用して電子契約書の作成を効率的に行うという使い方も可能です。

電子契約システムと他のシステムを連携させるメリットについて詳しくは「電子契約システムとの連携を検討すべきツール」をご覧ください。

契約書の電子化の問題点・デメリット

契約書の電子化を導入するにあたっては、デメリットや問題点もあるので、あらかじめ把握しておきましょう。特に重要な3つの点を解説します。

電子化できない契約書類もある

多くの契約書は電子化が可能ですが、契約書の種類によっては「紙の書面での契約書」が義務付けられているという点に注意が必要です。

例えば次のような契約書などが、紙の契約書の締結を義務付けられているものとして挙げられます。

  • 公正証書を締結時に必要とする契約書(借地借家法第23条第3項、事業用定期賃貸借契約書など)
  • 下請法3条書面・雇用契約における労働条件通知書等で、電子契約を利用することに関する相手方の承諾がとれない場合(下請法第3条第1項、労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則 第5条第4項本文)
  • 旅行業者の旅行者・取引先に対する契約書面の交付で、電子契約を利用することに関する相手方の承諾がとれない場合(旅行業法第12条の5第1項及び第3項)

これらの書面交付・公正証書の作成を義務付けられている契約書を扱う場合は、一部の契約書を紙で処理することになるなど、業務フローが複雑化する可能性もあります。

ただし、2022年に不動産契約の多くが電子化可能になりました。また、2023年までに特定商取引法による重要事項説明書も電磁的記録による交付ができるようになる予定です。今後も電子化できる契約の種類は増えていくことが予想されます。

取引先の理解を得る必要がある

電子契約を導入するには、取引先が電子契約のやり方を理解している必要があります。

理解を得るために相手方への説明が必要になる場合がありますが、それには非常に手間がかかることがあります。場合によっては取引先に電子契約を拒否されてしまう可能性もあります。

電子契約を導入している会社同士でも、システムの違いなどによって相互に説明の時間を必要とする場合もあります。

重要な取引先がある程度決まっている場合は特に、電子契約を導入する前に、相手方の理解が得られるかどうかを十分に確認しておくことが重要です。

契約締結時における業務フローの見直しが必要

導入にあたっては、契約締結時における業務フローを調整する必要があるというデメリットもあります。新しいルール作りや、社内への説明会・教育などの手間も必要です。

社内調整をできるだけスムーズに進めるには、導入のメリットを十分に説明することや、使ってみたいというイメージを持ってもらうことが重要です。また、電子契約についてよく理解しているメンバーが既にいるなら、社内調整に協力してもらうように依頼しましょう。

法的な効力のある電子契約を締結するための要件

電子契約を導入するにあたっては、紙と同等の「法的な効力」を持たせるために充たすべき基本的な要件があります。以下より詳しく見ていきましょう。

電子署名をする

まず、電子契約には「電子署名」をする必要があります。電子署名とは、その電子文書が正式なものであることと、改ざんされていないことを証明する措置のことです。法律上の定義は、以下のとおりです。

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

引用元|電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)第2条第1項|e-Gov法令検索

この電子署名法の要件は、電子契約システムを利用することにより、満たすことができます。同法の第3条によると、電子署名されたデジタル文書は、「真正に成立されたもの」と推定され、印鑑のある紙の文書などと同等の法的効力を持つものです。

タイムスタンプを施す

電子契約書のデータにタイムスタンプを施すことも必要です。タイムスタンプとは、文書を作成した日付・時刻を、第三者(TSA:時刻認証局)との通信による公証によって証明する技術のことです。

タイムスタンプは、電子帳簿保存法施行規則第4条第1項第1号または第2号によって、原則として要求されています。電子データに要件を満たすタイムスタンプを付与することで、紙の国税関係書類と同等の効力を有することが可能です。

タイムスタンプの付与も、通常は電子契約システムを使うことで、法律上要求される要件を満たすことができます。

適切な方法で保存する

電子契約書データの「保存方法」についても、電子帳簿保存法による要件を満たす必要があります。保存方法について満たすべき要件は、以下の2つです。

  • 真実性の確保:訂正・削除履歴の確保(タイムスタンプ)、書面や帳簿の相互関連性の確保、システム関連の説明書等の備え付けを意味する
  • 可視性の確保:ディスプレイ等で速やかに読むことが出来ること、検索性の確保を意味する

これらの要件についても、通常は電子契約システムを利用することで満たせます。電子契約書の保存要件について、詳しくは下記のページを確認してください。

参照|電子帳簿保存時の要件|国税庁

電子契約の基本的な流れ

電子契約システムを使った契約締結の流れは、以下のように進みます。(ここでは例としてA社・B社間で契約を結ぶこととします)

電子契約の流れ

  1. A社・B社双方で合意した契約書をPDF化(契約書データの作成はA社が担当)
  2. A社が契約書のPDFデータをシステム上からメールで送信(この処理でA社の電子署名も完了する)
  3. 相手方B社が受け取り、承諾処理をする(この処理で、B社の電子署名が完了する)

流れはこのようにシンプルです。PCのほか、スマートフォンに連携している契約システムもあり、契約締結をスマホで完結することもできます。

電子契約システムとは?

電子契約システムとは、契約を紙と印鑑ではなく電子データで締結できるシステムです。電子署名機能や、タイムスタンプの機能があり、契約管理システムなど他のシステムとの連携もできます。

締結した契約書のデータは多くの場合クラウド上に保存され、アクセス権限のあるメンバーがオンラインでアクセスできます。クラウドにはセキュリティ対策が施されており、システム上で安全に契約書データを保存・管理することが可能です。

電子契約システムとの連携を検討すべきツール

電子契約システムを導入する際は、他のシステムとの連携も検討しておくと、さらなる業務効率改善を図ることが可能です。連携することで業務効率化の相乗効果が期待できるツールを2つ紹介します。

CRM(顧客関係管理システム)

CRM(顧客関係管理システム)とは、顧客の電話番号や住所、メール、その他取引関係の情報などを一元管理できるシステムです。

多くの企業では、顧客情報の管理や、営業活動の効率化などにCRMを活用しています。

電子契約システムとCRMを連携すれば、契約書と顧客データの紐づけができ、契約書の宛名・代表者氏名および役職などの情報をCRMから引用して契約書を作成することもできます。

大量に契約を反復して締結する場合などには、電子契約システムとCRMを連携することで、業務効率化の高い効果が期待できます。

契約書管理システム

契約管理システムとは、締結した契約書を分類して整理し、検索可能なデータベース化や、契約書の保管・管理を行うシステムです。

電子契約システムと契約管理システムが連携すれば、契約書の締結から管理までを一元化することができます。

契約書管理システム「LegalForceキャビネ」は、電子契約システムとの連携が可能な契約管理システムです。締結した電子契約書の更新期限を自動メールで通知するリマインド機能や、契約書の全文検索機能があり、契約書の管理が効率化できます。電子契約システムと合わせて導入することで、契約業務全体の効率化が可能です。

電子契約締結後の契約書管理なら「LegalForceキャビネ」

電子契約は、紙の契約書と比べてスピーディな締結ができることや、保管コストを削減できるなどのメリットがあります。

ただし電子契約の導入には、取引先への説明や、新しい業務フローなどの業務負荷がかかる場合がある点に注意が必要です。

契約業務の効率化には、電子契約システムと契約管理システムとを連携させることも有効です。契約書管理システム「LegalForceキャビネ」は、電子契約システムとの連携機能があり、電子契約システムで作成した契約書の管理を効率化するためにお役立ていただけます。

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