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ウクライナ情勢で注目の「不可抗力条項」チェックするべきポイントは?

ウクライナ情勢で注目の「不可抗力条項」チェックするべきポイントは?

2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻。各国の制裁を受けているロシア、大きな被害が出ているウクライナに拠点を置く企業はそれぞれ、安定した事業活動ができないリスクにさらされています。こうした「不可抗力」によって製品の輸出入や納金・送金ができなくなったとき、確認したいのが契約書の「不可抗力条項」です。

本記事では、ロシアのウクライナ侵攻をふまえ、不可抗力条項をめぐる影響や、契約書の具体的なチェックポイントを解説します。


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不可抗力条項とは

上記の契約を締結した場合、例示されている事象(天災、政府機関の行為若しくは命令、火災、洪水、台風、高潮、地震、戦争、反乱、革命、暴動、ストライキ、ロックアウト、流行又はパンデミック等)が発生した場合、不可抗力を主張することができます。

ロシアのウクライナ侵攻は戦争に該当し、契約当事者は不可抗力を主張することができます。

ロシアとビジネスをしている企業間での不可抗力条項の影響

欧米・日本等の制裁措置がロシア企業と日系企業の工作機械売買取引に与える影響について考えると、①取引の問題、②製品輸送の問題、③輸出規制の問題、④送金の問題が発生する可能性があります。

① 取引の問題

経済制裁によりロシアの国内経済が混乱し、発注企業から発注内容の変更やキャンセル等の要求を受ける可能性があります。また、発注企業が経済混乱により事業を継続できず、倒産してしまうリスクもあります。

更に、据え付け作業が必要な大型工作機械の場合は、据え付け作業を担当するエンジニアを日本からロシアへ派遣できなる可能性もあります。

② 製品輸送の問題

大手海運会社がロシア発着貨物の引き受けを停止しており、世界的な物流システムの混乱により、工作機械を予定どおりロシアへ輸送できない可能性があります。

③ 輸出規制の問題

米国政府がロシアに対してハイテク製品の輸出規制を行う可能性があります。この規制の影響は、ハイテク製品だけではなく、ハイテク製品が組み込まれた工作機械に対しても及ぶ可能性があるため注意が必要です。

また、日本政府がロシアに対して独自の輸出規制を行う可能性があり、売買対象の工作機械が輸出規制の対象になる可能性があります。

④ 送金の問題

金融制裁の影響によって、ロシア国内の金融機関が資金決済を行えず、売掛金を回収できない可能性があります。

侵攻・制裁措置で契約を履行できない場合に契約書でチェックするべき点

まずは、契約書の準拠法条項(Governing Law Clause)と紛争解決条項(Jurisdiction and Dispute Resolution Clause)をチェックし、その契約書にどの国の法律が適用され、どの国の裁判所や仲裁機関で紛争解決が行われるかを調べます。

その後、不可抗力条項(Force Majeure Clause)をチェックし、取引を阻害する原因が不可抗力に該当するかどうかを検証します。

不可抗力条項の参考事例

契約書の不可抗力条項の参考事例は、以下のとおりです。

英文契約書の例

日本語の契約書の例

賠償責任について

不可抗力条項があると、商品が届かなかった発注者の損害について、受注企業は賠償責任を逃れることはできるでしょうか。

契約書の不可抗力条項が適用される場合、受注企業は、工作機械を納品できなかったことに対する契約上の責任を逃れることができます。したがって、受注企業は、発注企業からペナルティを課されることなく納期を延長することができます。

不可抗力条項がない場合は民法による解釈

契約書の不可抗力条項は、記載内容が公序良俗に反し無効と判断されない限り、契約書の文言と当事者の意思に基づいて解釈されます。また、契約書に不可効力条項がない場合は、民法によって解釈されます。

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<この記事を書いた人>

Nobisiro編集部

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