契約書の収入印紙について解説!不要な場合や印紙代の節約法も紹介

契約書の収入印紙について解説!不要な場合や印紙代の節約法も紹介

契約書には、印紙税法により収入印紙の貼付が必要になる場合があります。印紙税法の課税物件表(別表第1)で、20種類の課税対象になる契約書が定められており、該当する文書には収入印紙を貼付しなければなりません。

例えば不動産売買契約書や請負契約書など、印紙税の課税文書に該当する場合は収入印紙の貼付が必要です。一方、法律に反しない合理的な方法で、収入印紙代を節約する方法もあるので活用してみましょう。

この記事では、収入印紙が必要な場合・不要な場合の詳細と、印紙代の節約方法について詳しく紹介します。

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そもそも収入印紙とは?

「収入印紙」とは、一定の取引の際に、行政に対する手数料や租税を支払うために発行される証票です。また、契約書や受取書(領収書)などの経済的な取引に伴って作成した文書に課せられる税金のことを「印紙税」といいます。
印紙税がかかる文書には、印紙税を支払って収入印紙を入手し、貼付しなければなりません。また、収入印紙の取り扱い方にもルールがあります。以下で詳しく確認しましょう。

貼る場所や消印はどうする?

契約書のどこに収入印紙を貼るのかについて、法律上の定めはありません。ただし慣例としては、契約書の「左上の余白部分」または「表紙の右上」に貼付するのが一般的です。

また収入印紙には「消印」を押す必要があると印紙税法で定められています(印紙税法第8条第2項)。消印とは、収入印紙の上に押す印鑑または署名のことです。印紙は、一度貼ったものをはがして再利用ができてしまうので、消印により再利用を防ぐ必要があります。

消印は印紙に半分またがるように、押印または署名することで行います。印鑑ではなく署名で行う場合には、必ずボールペンなど「消去ができないペン」を使わなければなりません。

消印は、契約書締結の際に利用した印鑑を使用しなくても問題はありません。代理人や使用人が押印・署名することもできます(印紙税法施行令第5条)。契約の当事者の双方が行う必要はなく、一方の消印で十分です(印紙税法基本通達第64条)。

収入印紙の消印の位置:収入印紙に半分かかるように押印・サインする図

収入印紙税は自社・相手のどちらが負担する?

印紙税は、作成者が納税義務者になるとされているため(印紙税法第3条第1項)、基本的に作成者が負担します。
共同で作成した場合は両者で負担します(印紙税法第3条第2項)。契約書の多くは、双方が保管するため1通ずつ作成しますが、この場合は、双方で2通分の印紙税を折半するのが一般的です。

契約書に収入印紙が必要になる場合

契約書に印紙税が必要になるのは、印紙税法の別表第1に定められる20種類の文書に該当する場合です。それ以外の文書には、課税されません。

ところで、契約書に収入印紙が必要になるのは以下のような理由による、とされています。

  • 文書にはビジネス上の利益が発生しており、所得税などと同様に、税を課すことが相当
  • 文書を作成することで法律関係が明確化される効果があり、これにより利益を受ける当事者に軽度の税負担を求めるのは妥当

そこで、不動産売買契約書・請負契約書・金銭消費貸借契約書・信託契約書など、主要な取引契約書が印紙税の対象になっています。

どのような契約書に収入印紙が必要かについて詳しくは、下記「収入印紙が必要な契約書の種類」をご覧ください。

契約書に収入印紙が不要な場合

課税文書に該当しなければ印紙税は不要です。しかし、文書の種類が課税文書に該当しても、収入印紙を貼らなくてよい場合があります。以下、契約書に収入印紙が不要な3つの場合を紹介します。

非課税文書に該当する場合

文書の種類としては課税文書に該当しても、「契約金額が少ない」などの条件を満たすものは非課税文書とされ、収入印紙は不要です。

例えば、一般に個人が買い物をするときの領収書には、印紙が貼られていることはほとんどないでしょう。これは売買代金に関する領収書(第17号文書に当たる)が5万円未満の場合非課税であるためです。

単発・短期契約の場合

物品の売買契約のうち、「継続的取引」に関する契約書は第7号文書に該当する課税文書ですが、「継続的取引」でない場合は課税文書に該当しません。

「継続的取引」ではない場合とは、例えば「1回だけの取引」の場合や、「3カ月以内の短期契約」である場合などです。

「継続的取引」ではない場合について詳しくは、当ページ内の「第7号文書」の項を参照してください。

電子化された契約書の場合

電子契約の場合は紙の契約書を作成しないため、印紙税は不要です。

電子契約の印紙税が非課税になる根拠として、印紙税法基本通達第44条第1項には、「課税文書の作成」について以下の規定があります。

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

引用元:国税庁|印紙税法基本通達 第44条第1項

そして、上記の通達第44条第2項は、課税文書の「作成の時」として、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、「当該交付の時」であるとしています。そのため、紙を使わず、現物の交付を行わない電子データでの契約には印紙税が不要であり、合法的な節税方法として電子契約が利用されることがあります。

収入印紙が必要な契約書の種類

収入印紙が必要になる契約書などの文書は、以下の20種類です。

番号文書の種類
1(1)不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約

(2)地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書

(3)消費貸借に関する契約書

(4)運送に関する契約書(傭船契約書を含む)

2請負に関する契約書
3約束手形又は為替手形
4株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券
5合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書
6定款
7継続的取引の基本となる契約書

(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く)

8預貯金証書
9倉荷証券、船荷証券又は複合運送証券
10保険証券
11信用状
12信託行為に関する契約書
13債務の保証に関する契約書

(主たる債務の契約書に併記するものを除く)

14金銭又は有価証券の寄託に関する契約書
15債権譲渡又は債務引受けに関する契約書
16配当金領収証又は配当金振込通知書
17(1)売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書

(2)金銭又は有価証券の受取書で1に掲げる受取書以外のもの

18預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行若しくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳又は生命共済の掛金通帳
19第一号、第二号、第十四号又は第十七号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもつて作成する通帳(前号に掲げる通帳を除く)
20判取帳

引用元:国税庁|令和4年4月現在 印紙税額

上記20種類のうち、特に代表的な契約書・文書について、以下で詳しく解説します。

第1号文書

第1号文書に当たる契約書は、不動産やお金の貸し借りに関する契約書、運送に関する契約書などです。具体的には、以下のような文書が該当します。

種類具体例
不動産・鉱業権・無体財産権・船舶・航空機・営業の譲渡に関する契約書不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
地上権・土地賃借権の設定・譲渡に関する契約書土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など
消費貸借に関する契約書金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
運送に関する契約書(傭船契約書を含む)運送契約書、貨物運送引受書など

第1号文書の印紙税は契約金額を基準にして決められ、契約金額が1万円未満なら「非課税」、契約金額のない契約書の印紙税は「200円」とされます。最高で契約金額が50億円を超えると印紙税は「60万円」です。

第2号文書

第2号文書に当たる契約書は、請負に関する契約書です。

請負契約書は、一般的には何らかの成果物が生じる契約書がこれに当たるとされています。例えば「工事請負契約書」「工事注文請書」「物品加工注文請書」「広告契約書」などです。もっとも、映画俳優などが、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約も請負契約に含まれ、「映画俳優専属契約書」などがこれに当たります。

第2号文書の印紙税は契約金額を基準にして決められ、契約金額が1万円未満なら「非課税」、契約金額のない契約書の印紙税は「200円」とされます。最高で契約金額が50億円を超えると印紙税は「60万円」です。

第5号文書

第5号文書は、会社再編に関する契約書で、以下のような文書に限り課税文書とされています。

  • 合併契約書
  • 吸収分割契約書
  • 新設分割計画書

合併契約書は、会社法上・保険業法上の合併に限り、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社および相互会社が締結する合併の契約書です。

また、吸収分割契約書・新設分割計画書(新設分割計画を証する書面)は、会社法上のものであり、株式会社と合同会社のみに限られます。

第5号文書の印紙税額は、一律「4万円」です。

第7号文書

第7号文書は、継続的取引の基本契約書です。

例えば「売買基本契約書」「特約店契約書」「代理店契約書」「業務委託契約書」「銀行取引約定書」など、3カ月以上の継続的取引を定める契約書です。契約期間が3カ月以内であり、かつ更新の定めがない場合、非課税となります。

「取引」というと、第1号・第2号文書と重複するように思われますが、どのように区別すればよいのでしょうか。他の号に該当する場合と、どのようにすみ分けるかについて、国税庁のWebサイトには以下のような回答が載せられています。

「課税物件表の適用に関する通則3のイには、「第1号又は第2号に掲げる文書で契約金額のないものと第7号に掲げる文書とに該当する文書は、同号(第7号文書)に掲げる文書とする。」旨の規定があります。したがって、…(中略)…売買に関するもので不動産等を対象とするもの、運送に関するもの、請負に関するものについては、それぞれ第1号文書又は第2号文書にも該当することとなりますから、記載金額のあるものは第1号又は第2号文書に、記載金額のないものは第7号文書にその所属が決定されることになります。」

引用元:国税庁|第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定

したがって、不動産や運送、請負など第1号・第2号文書に該当するような文書でも、金額の記載がなく、第7号文書に当たる「継続的取引の基本契約書」ならば、第7号文書に分類されます。

第7号文書の印紙税額は、一律「4,000円」です。

第12号文書

第12号文書に当たるのは、信託行為に関する契約書(信託契約書)および信託証書です。

信託行為に関する契約書であれば、対象や受託者・受益者の性質を問わず第12号文書に該当するとされています。金銭信託・不動産信託・株式信託などの契約書がその例です。

第12号文書の印紙税額は、一律「200円」です。

第13号文書

第13号文書は、保証契約書です。

債務の保証に関する契約書であれば、第13号文書に該当します。しかし、主たる債務の契約書に併記するもの(金銭消費貸借契約書に定められる連帯保証条項など)は除かれます。

一方、身元保証契約書は非課税です。

第13号文書の印紙税額は、一律「200円」です。

第14号文書

第14号文書に当たるのは、金銭・有価証券の寄託契約書です。当事者の一方が相手方のために金銭または有価証券を預かることとしている寄託契約を証するもの(株券預かり証など)が第14号文書に当たります。

第14号文書の印紙税額は、一律200円です。

第15号文書

第15号文書に当たるのは、債権譲渡・債務引受の契約書です。債権者・債務者・引受人の全て、またはいずれかによる合意に基づく債権・債務の移転についての文書のことをいいます。

第15号文書の印紙税額は、1万円未満が「非課税」で、1万円以上は「200円」です。

印紙代を節約する方法

印紙税には、法律に反しない合理的な節約方法があり実務上も活用されています。実際によく見られる節約法3つをご紹介します。

契約書のコピーを活用する

印紙代を節約する方法の一つは、「契約書のコピー」を活用することです。

例えば、2社の間で作成する契約書は、通常2通を原本として作成します。しかし、1通を原本として作成、1通を写し=コピーとして作成すると、印紙税は半額で済みます。

しかし、印紙税法基本通達第19条第2項では、以下の場合にはコピーであっても印紙税の課税対象になると規定しているためご注意ください。

第19条 (略)
2 写、副本、謄本等と表示された文書で次に掲げるものは、課税文書に該当するものとする。
(1) 契約当事者の双方又は一方の署名又は押印があるもの(ただし、文書の所持者のみが署名又は押印しているものを除く。)
(2) 正本等と相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることの契約当事者の証明(正本等との割印を含む。)のあるもの(ただし、文書の所持者のみが証明しているものを除く。)

引用元:印紙税法基本通達第19条第2項

なお契約書のコピーを控えとして扱った場合、コピーだと改ざんや偽造の可能性もあるため、訴訟においては証拠としての証明力は原本よりも落ちます。

以上の注意点を理解した上で、合理的な範囲でコピーを活用しましょう。

電子契約を導入する

もう一つの代表的な節税方法は、電子契約の導入です。前述の通り、電子契約の場合は印紙税がかかりません。

電子契約とは、電子データに対して電子署名を記録し、契約を締結することをいいます。

電子契約に係る文書に印紙税が課税されない理由については、国税庁のホームページにある「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(別紙1-3)」をご参照ください。

(略)また、印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、印紙税法基本通達第44条により「単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ、課税文書の「作成の時」とは、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、当該交付の時であるとされている。

(略)しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

ただし、電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。

引用元:国税庁|請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(別紙1-3)

国税庁は、印紙税の対象になる課税文書の「作成」とは「『課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう』もの」を指すと述べています。

しかし、電子メールに契約書データを添付して電子契約を取り交わすことは、現物の契約書の交付を伴っていないため、課税文書の「作成」には当たらず、印紙税は非課税となります。印紙税がかからないだけでなく、他にもいくつかのメリットがあります。例えば、電子データであることから保管や管理のための場所が不要になることです。

また契約書をインターネット経由で締結できるため、リモートワークの際にもスピーディーに契約業務を進められるというメリットもあります。電子契約のメリットについて詳しくは、以下の記事で解説しています。

収入印紙の貼付ミスを防ぐ

収入印紙の貼付ミスを防ぐことは、印紙税の節約につながります。

印紙を貼り付けなければならない課税文書に、印紙を貼り付けないで相手方に交付してしまった場合、「正規の印紙代の2倍」の印紙税額が「過怠税」として本来支払うべき印紙税額に加算されます(印紙税法第20条第1項)。

ただ、国税庁のホームページでは過怠税を満額支払わずに済むケースも解説しています。印紙税の調査を受ける前であれば、印紙税を納付していない旨を所轄税務署長に申し出れば過怠税の金額は印紙税額の1.1倍となります。

(略)
ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出をした場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について3倍の過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、その過怠税は、その納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の1.1倍)になります。

引用元:国税庁|印紙を貼り付けなかった場合の過怠税

収入印紙の貼付ミスの対策ポイントは、各契約書がどの課税文書に当たるのか、種類を間違えないようにすることです。チェックリストなどを作って、定型的に印税額を確認できるようにすることも役立ちます。

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