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急成長ベンチャーにおける法務組織の課題と変化

急成長ベンチャーにおける法務組織の課題と変化

Sessionのポイント

ベンチャー企業は成長が速く、業務内容や組織構成も刻々と変化します。本Sessionでは、急成長中のベンチャー企業の法務をリードする岡本氏、小田氏に、

といった内容をお話いただきました。


Profile

ベンチャー法務の特徴

佐々木氏 まずはお二方のご経験から、ベンチャー企業の法務の特徴をお聞かせください。

岡本氏 ベンチャー企業は、事業や組織の成長にあわせて法務の役割が変化すること、変化のスピードも速いことが特徴です。変化にあわせて予期せぬトラブルも日々発生しますが、前向きなエネルギーに満ちた会社で働ける喜びを感じています。

小田氏 ベンチャー企業は、大企業と異なり社内ナレッジが蓄積されていないことが多いです。それで苦労する反面、0から1をつくる楽しみがあるのが特徴です。

佐々木氏 事業成長のフェーズにより、法務の役割はどのように変化すると感じていますか?

小田氏 事業の成長に付随し、会社としての法的、倫理的な責任が大きくなります。しかし、バックオフィスの本質的な役割は事業成長への貢献であり、それはどのフェーズでも不変です。

岡本氏 大きな変化は2つあります。1つは、上場を境に攻めと守りのバランスが変化することです。上場前は未知の取組みが多く、リスクを合理的に受け入れる場面も多い一方、上場後は社会的責任が大きくなり、守りを固める場面が増えます。もう1つは、組織全体の成長にあわせて、法務も業務の専門化・細分化が求められることです。

ベンチャー企業の法務組織に発生する課題

佐々木氏 お二方の会社における、法務組織の体制や課題をお聞かせください。

岡本氏 アンドパッドの法務部は私を含め3名体制で、法務相談フローの整備なども含め、発展途上の状況です。課題はナレッジの蓄積・共有と業務範囲の拡充だと考えています。アンドパッドは「幸せを築く人を、幸せに。」のミッションを実現すべく、急拡大中の組織です。組織の拡大にあわせて法務部もメンバーを増やし、事業・開発部門のサポートやコーポレート法務など、カバーできる業務領域を広げていきたいと考えています。

小田氏 Visionalの法務室は今期初(2021年8月)現在10名体制で、2020年2月から2021年8月にかけて7名増員しました。事業法務・コーポレート法務・知財グループに分かれており、組織の骨格が整いつつあります。課題は、メンバーが増える中で仕事の質や考え方をいかに統一するかです。今は、採用時の見極めや、日々の意思決定の背景を愚直に説明するなどの地道な積み重ねで対応しています。事業の成長に必要な「一歩先の提案」を行う組織を目指し、10~20年といった長期的な目線で組織風土の醸成を目指しています。

佐々木氏 1年半で7名増員はインパクトがある数字ですね。どのような点に留意して採用を進めたのですか?

小田氏 採用は確率論の世界です。営業と同じように地道に数をこなすことが重要で、私自身で膨大な数の経歴書に目を通し、スカウトメッセージを送り、人に会い続けました。

ベンチャー法務ならではの楽しさ

佐々木氏 お二方が、海外留学を経験した後に、あえてベンチャー企業の法務にチャレンジした理由を教えてください。

岡本氏 留学時の経験が影響しました。私が留学したスタンフォード大学はシリコンバレーのど真ん中にあり、周囲の学生は何らかの形でスタートアップに関わっていました。誰もがミッションドリブンな思考で事業に取り組んでおり、衝撃を受けるとともに、皆が輝いて見えました。そんな周囲の学生の姿を見て、自分もスタートアップに入りたいと感じ、転職を決意しました。

小田氏 法律事務所時代から、将来は事業に当事者としてコミットしたいという思いが強く、留学先はビジネススクールを選びました。留学先の英国ケンブリッジも学生の起業意識が高く、そこで味わったワクワク感がベンチャー企業に挑んだ大きな理由の一つになりました。また自分の性格的に、完成した組織よりも未完成な組織を創り上げていくプロセスに魅力を感じました。

佐々木氏 小田さんは、ビジョナルで3年ほど営業を経験した後に法務室に異動されていますね。葛藤はありませんでしたか?

小田氏 法律家をやめて事業側から経営者になることを目指すつもりでVisionalに挑戦した経緯があったので、法務室への異動には大きな葛藤がありました。自分が過去にした大きな決断を覆すような意思決定でしたので。しかし、結局のところ自分が最も貢献できるのは法務であるという結論に行きつきました。自らの負けを認めるようなプロセスで辛い思いもありましたが、今では、他の人にはあまりない自分なりの価値を発見できたと前向きにとらえています。

佐々木氏 お二方が感じる、ベンチャー企業の法務の楽しさは何でしょうか?

岡本氏 法務の枠にとどまらない経験を積める点です。たとえば、前職のメルカリではIPOや資金調達に従事しましたし、現職のアンドパッドでは法務全般の業務に加え、建設業界のDXに関するメディア運営や公共政策も担当しています。自分のコアスキルを活かして貢献する仕事と、未知の領域に挑戦する仕事のバランスが取れ、充実感があります。

小田氏 会社の成長を間近に見届けることができるのはベンチャー法務の醍醐味です。事業を、我が子のように愛おしく感じます。

佐々木氏 今後のキャリアイメージについてもお聞かせください。

岡本氏 アンドパッドは建設業界という巨大市場に向き合っており、今後の伸びしろが非常に大きいと考えていますので、サービスや組織の成長をしっかり見届けたいです。また、会社の成長にあわせて自分の視座も高めていきたいです。

小田氏 日本社会が豊かになり、かつ自分自身がやることに意味を見出せることに身を投じ続けたいです。Visionalでは、キャリアに悩んでいた過去の自分の経験を活かして、日本の働き方・キャリアに対する考え方を変えていきたいと思っています。今後、別のテーマを見つけたとしても、日本のために働くという軸はぶれません。

佐々木氏 お二方からそれぞれに対しお尋ねしたいことはありますか?

小田氏 岡本さんがキャリアの意思決定を行う軸は何でしょうか?

岡本氏 自分が楽しいと思えて、かつ社会に広くインパクトを生み出せる仕事を追求しています。小田さんは、いまのキャリアを通じて、会社やご自身の成長をどのように感じていますか?

小田氏 事業部に身を置いていたときを振り返ると、会社の成長に自分が追いつけていない危機感を覚えました。事業の道に突き進んでみたものの、やはり自分のスペシャリティは事業ではなく法務だと徐々に気づかされました。Visionalに参画したからこそ、つかめた感覚でした。

佐々木氏 最後に、参加者に向けてお二方からメッセージをお願いします。

小田氏 ベンチャー法務は心から楽しいと断言できる仕事です。ぜひビズリーチに登録して(笑)、ベンチャー法務にチャレンジしてください。

岡本氏 ベンチャー法務は他では味わえない事業・組織の急成長を体験できる魅力的な仕事ですし、周りは優秀なメンバーが多く、やりがいがあります。アンドパッドもさらなる拡大を目指しているので、興味がある方はぜひご一緒しましょう。

▼「LegalForce Conference 2021」の様子は、YouTube上でも配信しています。ぜひご覧ください。


<この記事を書いた人>

Nobisiro編集部

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