電子契約とは?導入メリットや関連した法律などについて徹底解説

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近年、電子契約を用いた企業間取引が多く見られるようになってきました。電子契約はリモートワークと相性がよく、システム上での作成や管理、シェアが便利なうえ、印紙税がかからないなどメリットが大きいと言われています。

リモートワークの普及以外に、電子帳簿保存法など法律の整備や改正も、電子契約普及の追い風になっているようです。

本記事では、電子契約の導入を考えている企業や、電子契約の管理のあり方を検討中の人に向けて、メリット・デメリットも含めながら電子契約について徹底解説します。法令との関係もわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

電子契約とは?

電子契約とは、これまで紙媒体で取り交わされていた契約書を電子データで行うもののことをいいます。法律上、書面での契約書と同様の効力をもち、署名もインターネット上で行うことが可能です。

従来は、契約書を紙で作成・製本・押印して郵送し、最終的には鍵付きの書庫などで保管していました。これに対して電子契約書は、すべて電子データにより作成し、電子署名のうえインターネットで送信して締結します。締結済みの契約書は、すべてサーバで保管されます。

いつでもPCがあれば作成でき、出張先でも電子署名を行うことが可能です。サーバでの保管なので、物理的な保管スペースを確保する必要もありません。

上記のように利便性が高い電子契約書は、コロナ禍をきっかけに日本国内での利用数が増加しています。

電子契約は法的に有効?

電子契約は、法的にも有効です。そもそも契約は、口頭のみでも成立するため、契約書の形式は関係ありません(民法522条2項)。ただし、あとでトラブルになった際、裁判で証拠として扱われるかは別に考える必要があります。

裁判で文書を証拠として提示するには、契約が成立した真正性を証明しなければなりません(民事訴訟法228条1項)。電子契約の場合、「電子署名」をおこなうことで、真正性の証明ができます(電子署名法3条)。つまり、電子署名がなされた電子契約は、裁判で証拠として利用できるということです。

書面契約との違い

書面と電子契約には、主に以下のような違いがあります。

 書面による契約書電子契約書
形態紙媒体電子データ
押印方法印鑑電子署名(電子サイン)
本人性の担保印鑑証明書電子証明書
改ざん防止などのセキュリティ刻印または割印タイムスタンプ
送付方法郵送または持参インターネット
保管方法倉庫または書棚サーバー
収入印紙必要不要

書面と電子契約の違いは、契約書が実在するかどうかです。書面の契約書は、パソコンなどで作成した契約を紙に印刷し、割印を押します。作成した契約書は、郵送または担当者が持参する形で先方に届けます。

一方で電子契約は、契約書の作成から締結までをオンライン上で完結するのが特徴です。契約書は電子データとなり、印鑑の代わりに電子署名をおこなうことで、契約書の有効性を証明します。契約の締結は、メールまたはシステム上でおこないます。

なお、書面による契約書の場合、契約内容によって印紙税が課せられるため、収入印紙の貼り付けが必要です。対して電子契約は、印紙税の対象外となるため、収入印紙の貼り付けは必要ありません。

電子契約の仕組み

電子契約は、一般的に以下の仕組みで作成から締結までをおこないます。

  1. 作成者が電子契約サービスへ契約書をアップロード
  2. 相手方がメールにて受信した契約書の内容を確認
  3. 相手方が契約書に電子署名をおこない契約を締結

電子契約では、電子署名法にもとづいた電子署名をおこなうことで、書面の契約書と同等の効力を有します(電子署名法3条)。

なお、電子署名と電子サインの違いは、法的に認められているかどうかです。電子署名も電子サインの一種といえますが、一般的には法的に認められたものを電子署名と呼びます。電子署名は、「電子証明書」と「タイムスタンプ」で構成されます。

電子証明書

電子証明書とは、署名者の本人性を担保するためのものです。認定局という機関が発行しており、署名者の本人性を証明することで、電子契約に書面の契約書と同等の効力をもたせます。

電子証明書は、「公開鍵暗号方式」というセキュリティを採用しているのが特徴です。送信者と受信者のみが開封できる暗号を付与し、電子証明書の安全性を確保しています。暗号化された電子証明書は、公開鍵と秘密鍵を使用して開封が可能です。

具体的には、送信する側が公開鍵で文書データと電子証明書を暗号化し、受信した側が秘密鍵を使ってデータを復元します。複雑なようですが、電子契約サービスを利用すると、一連の手続きを簡単におこなえます。

タイムスタンプ

タイムスタンプとは、刻印された時刻に契約書が存在することを証明するための技術です。タイムスタンプの刻印により、その時刻に契約書が存在していたことが分かり、それ以降改ざんされていないことを証明できます。

電子署名は本人性を証明できる一方で、「その契約書がいつ作成されたものか」を証明できないのが欠点です。電子契約の場合、悪意をもった人物が電子署名のあとに、日付を改ざんできる場合があります。悪用できる場合があると、契約書を交わす意味がありません。

電子署名と併せてタイムスタンプを付与することで、「いつ」作成したものかが分かり、改ざんされていないことを証明できます。なお、ビジネスにおいて電子署名とタイムスタンプは、よくセットで使用されます。

電子契約サービスのシェア率は年々増加している

調査結果から見ても、電子契約サービスのシェアは年々増加しています。矢野経済研究所の調査によると、電子契約の市場規模は2017年以降右肩上がりで、2024年には264億にまでのぼると予測されているのが特徴です。

ここで言う電子契約市場とは、契約作成・締結・管理に関する製品やサービスを対象とした市場のことを言います。同調査によると、2019年で38億円から68億円に市場規模が拡大していることがわかり、対前年比で見ると68%ものプラスです。コロナ禍発生以前からすでに驚異的な伸び率を示していることがわかります。

さらに、2020年11月の調査公表時点では、同年中に電子契約市場は100億円の市場規模になることが予測されていました。コロナ禍によるリモートワークが増えてからは、さらに急増傾向にあるようです。

加えて、JIPDEC・ITRによりリリースされた「IT-REPORT 2021 Spring」によると、電子契約の普及率は67.2%になっていることがわかります。それまでが30~40%程度と言われていたことからすると、急速な変化があったということがわかるはずです。

参照|矢野経済研究所「電子契約サービス市場に関する調査を実施(2020年)」2020年11月24日発刊
参照|JIPDEC「IT-REPORT」2021年5月発刊

電子契約に関する法律

電子契約には慎重な考えの人や、有効性について不安を持つ人もいるようです。しかし、法令上の根拠があることから、電子契約は有効なものだと言えます。

また、電子取引・電子契約を促進するための法律や、結果として促進したと考えられる法律もあるのが現状です。以下で、電子契約に関連する代表的な法律を紹介します。

電子署名法:電子契約の法的な有効性などを定めた法

まず、電子契約が一般に有効であることを根拠づける重要な法律が、電子署名法です。電子署名法第3条には、次のような規定があります。

「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」

引用元|e-Gov「電子署名及び認証業務に関する法律」

つまり、契約書などの私文書において、本人により本人だけができる方法で電子署名を施した「電磁的記録」は、原則有効に締結・作成された契約書である、ということを意味します。

民事訴訟法では、第228条第4項で「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と定められています。これは、紙の契約書などの私文書に本人または代理人が署名又は押印した場合、原則として有効と考えるという意味です。

引用元|e-Gov「民事訴訟法」

この民事訴訟法の電子版が、先述した電子署名法3条の規定ということになります。

ちなみに「推定」とは、反対の証拠を相手方当事者があげて証明しない限り、という意味です。この反証がない限り原則として私文書は有効であり、契約書も有効に締結されたものと扱う、と読むのが民事訴訟法や電子署名法の上にあげた規定です。

電子帳簿保存法:国税に関する書類の電子保存化を認めた法

電子帳簿保存法は、2015年の改正法から、契約書を課税関係の裏付けをするための国税関連書類として利用することができるとしています。

さらに、国税関係の書類を積極的に電子化し、事務を効率的に進められるよう、電子取引(電子メールやサイトを通しての取引)には一定のルールに則って書類を保存することを義務付ける趣旨で2022年4月から改正法が施行されています。

改正法によると、以下のルールに則って電子データを納税地で7年間保存することが必要です。

(1)真実性の確保
一定の規格のタイムスタンプや、訂正削除できないシステムの利用または事務処理規程が社内にあることが必要です。規定の内容は、電子データのファイルの編集・修正・削除など、保存時からの改ざん禁止を明示すること、チェックできることを盛り込みます。

(2)可視性の確保
納税地で画面やプリンターにて契約内容が確認できることを意味します。

(3)電子計算機処理システムの概要書等
契約の管理システムには、マニュアル・手順書等があることが必要です。

(4)検索機能の確保
主要な項目を範囲指定および組み合わせで検索可能なこと。契約書の場合、タイトルや取引相手などのキーで検索ができることを意味しています。

(1)~(4)の要件を満たすことが必要なので、2022年1月1日以降の取引については、国税関係の書類をスキャンコピーにて保管することができなくなりました。一方で、2022年4月から、事前の税務署長による承認は不要とされています。

なお、納税地での保存は、クラウドサービスを用いて遠隔地のデータセンターを利用してもよいのかどうかが気になる人もいるはずです。納税地で保管サーバに接続でき、可視性が確保できれば問題はない、と考えられています。

e-文書法:保管義務のある文書の電子保存化を認めた法

電子帳簿保存法が、国税関係の書類に限って電子書類の保存ルールを定めた法令であるのに対して、e-文書法は保管義務のある書類に関して広く電子保存を認める法令です。電子保存ができれば、原本を保管する必要がなくなります。

保管に際して守るべきルールは、以下の通りです。

(1)見読性
見読性とは可視性のことで、データが見やすいかどうかを判別するものです。パソコンなどのディスプレイで確認できる必要があります。

(2)完全性
保管された書類は、改ざんされてはなりません。訂正などがあった場合は、その事実が確認できることが必須です。

(3)機密性
電子データを保存するときは、閲覧権を限定し、許可された人しかアクセスしないよう、制限をかけるなど対策を要します。

(4)検索性
電子データをすぐに見つけられるように、検索できるようにすることが求められます。

適用される要件は上記のすべてが求められるわけではなく、書類ごとに4つのうち1〜3つの要件を満たすことが必要です。これらの要件を見ると、電子帳簿保存法とe-文書法はよく似ていますが、適用範囲が異なります。

電子帳簿保存法は財務省・国税庁が管轄する法律で、国税関係の書類を対象に適用されます。一方、e-文書法は複数の監督省庁が管轄する約250の法律とそこに規定されている文書に対して適用され、適用範囲が非常に広いのが特徴です。

双方の法令の関係をみると重なるところがありますが、国税関係の書類にはより厳しい電子帳簿保存法上の要件を満たしておく必要があります。

IT書面一括法:企業から個人へ渡す書面の電子化を認めた法

IT書面一括法(正式名称:書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律)とは、企業から主に消費者・権利者個人との契約に関し、交付される書面を電子メールで交付することを認めるための法律です。

主に消費者や個人である権利者の保護のために書面が交付され、企業には書面の交付義務があります。事務処理を紙で行うのは企業・個人ともに煩雑で負担が大きいことから、電子交付が認められています。

保険契約関連書面・消費生活協同組合の契約書面・投資信託や株の取引明細など、生活の中でもよく見る書面を電子交付で受けることが可能です。

その他、約50の法令に基づく書類について、電子交付が認められたIT書面一括法は電子契約を促進する効果があります。ただし、一部の重要書類は紙での交付が義務付けられており、すべての書面について書面交付が許されているわけではありません。

印紙税法:印紙税の対象を定めた法

印紙税法は、課税対象となる文書を別表第一に定め、文書に課税するための法律です(印紙税法第2条、第3条)。文書はその性質・金額ごとに税額が定められています。

ちなみに、印紙税法上、電子文書は課税文書に該当しません。電子文書に課税しない、とまでは印紙税法に書かれていませんが、その根拠は印紙税法基本通達の次の条文によるとされています。

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

2 課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。(平13課消3-12、平18課消3-36改正)
(1) 相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時
(2) 契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書 当該証明の時
(3) 一定事項の付け込み証明をすることを目的として作成される課税文書 当該最初の付け込みの時
(4) 認証を受けることにより効力が生ずることとなる課税文書 当該認証の時
(5) 第5号文書のうち新設分割計画書 本店に備え置く時

引用元|国税庁「通達目次/印紙税法基本通達 – 作成者等」1977年4月7日通達

ここでは、文書は紙により作成され、交付・認証・証明などは紙により行われることが予定されています。一方で、電子文書の作成や交付・証明等は、通達上の作成・交付・証明などに当たらないとされ、国税庁の見解もまた電子文書が非課税文書であるとしています。

電子契約は、仮に紙で作成されていれば、課税文書の性質を持つ文書に該当する可能性がある内容を備えているのが特徴です。 しかし、電子契約である限りは課税文書にあたらないとされているのです。

電子契約を利用すると非課税文書になることから、印紙税のコストを削減することできます。そのため、印紙税法はもともと課税を目的とするものの、結果として電子契約を促進する効果が生じる法律であると考えられるのです。

電子契約のメリット

電子契約には、次のようなメリットがあります。

印紙税がかからない

印紙税法により、課税文書に当たる紙の文書については、法律上収入印紙が必要です。しかし、先ほど紹介した通り、電子契約に収入印紙は必要ありません。

会社にとって電子契約は、印紙税代をカットできるメリットがあります。億単位など金額が大きい契約書では、印紙代だけで数万、あるいは数十万かかることもあるので、カットの効果は無視できません。

また、印紙税額の確認や、印紙台帳の整備・管理も事務手続き上手間がかかりますが、電子契約であればすべて不要です。

業務の効率化やコスト削減につながる

紙の契約書をやめて電子契約にすると、契約書を印刷する、収入印紙を購入して貼り付ける、契約書を郵送する際に封筒を用意して宛名をかく、など細々した作業がすべて不要です。

加えて、印刷のためのインク代や印紙代などのコストがなくなるうえ、事務処理にかかる人件費も削減することが可能です。プリンターやコピー機も減らすことができ、業務の効率化やあらゆるコストの削減効果が見込めます。

契約締結がスピーディに行える

契約締結を書面で行うと、取引先に書面を持参したり送ったり、反対にもってきてもらったり送り返してもらったりと、やり取りに時間がかかります。

電子契約なら、インターネット上で署名や送付が完結するので、タイムラグを減らすことが可能です。素早く契約を締結したい場合、合意から即日で完結することも珍しくありません。したがって、契約締結が紙の場合よりスピーディに行えます。

保管や管理が効率化する

契約書は一定期間保管しておかなければいけないため、書面だと保管スペースも必要なうえ管理が煩雑化します。保管スペースを外部倉庫などに借りる際は、賃料もプラスしなければなりません。

電子契約であればそのような負担が一切なく、会社内のサーバかクラウドサーバ上に保管することができます。

また、契約書管理システムや契約書管理クラウドサービスを利用すると、契約書のタイトルや番号、取引先別の検索も容易です。中には、契約書のキーワードで横断検索ができるサービスなどもあり、利便性や効率性が向上します。

リモートワークでも対応できる

電子契約は作成と電子署名の場所を問わないため、リモートワーク下であっても契約手続きを遅らせることがありません。押印やファイリングのための出社も不要です。

2020年のコロナ禍以降、電子契約を導入した会社が目立つようになり、電子契約関連サービスの市場規模が100億円を超えました。

押印やサイン、ファイリングをしなければならないなど契約関連業務のための出社がないことにより、リスク管理やBCPに役立ちます。リモートワークだけでなく、出張時のテレワークにも即応が可能です。

契約更新漏れが防止できる

契約書を書面により締結すると、締結済みのファイリングを更新時期別にするなどの工夫をしたり、エクセルファイルで契約有効期間の管理を別途行うなどして、契約更新の時期に自ら気づく必要があります。

電子契約書管理システムを利用すると、契約更新時期を自動で通知してくれるため、すぐに更新時期がわかり更新漏れのリスクが少なくなります。

改ざんや紛失のリスクが減る

物理的な保管と違い、一定水準以上のセキュリティ体制のもとサーバ上で保管できるため、改ざんや紛失のリスクが減ります。紙で保管すると、管理のありようによっては持ち出しも行われやすい点は大きなリスクです。

とくに、現在のクラウドサーバ上で提供される契約管理サービスにおいて電子契約書を保管すると、常に最新のセキュリティ体制をベンダー側で提供するので、高い安全性が保たれます。

災害等の被害も受けずBCP体制に役立つほか、契約書改ざんや紛失のリスクがないことから、電子帳簿保存法およびその他の適用法令のコンプライアンス強化につながるのが魅力です。

電子契約のデメリット

メリットの多い電子契約ですが、以下のようなデメリットもあります。

電子契約が認められないこともある

電子契約はすべての契約には対応しておらず、書面での契約を法的に義務付けているものもあるのが現状です。

書面での契約が義務付けられている契約には、以下のようなものがあります。

  • 定期借地・定期建物賃貸借契約(借地借家法第22条、第38条第1項)
  • 宅地建物売買等媒介契約(宅地建物取引業法第34条第21項)
  • 不動産売買における重要事項説明書(宅地建物取引業法第35条)
  • 投資信託契約の約款(投資信託及び投資法人に関する法律第5条)
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面(特定商取引法第4条)

書面での契約が多い企業の場合は、電子契約サービスを導入するメリットが得られないケースもあります。

取引先に理解してもらう必要がある

取引先によっては、IT技術に苦手意識を持っていたり、会社として規則上認められなかったりする理由から、電子契約をスムーズに受け入れてくれないことがあります。

せっかく電子契約サービスを導入しても、電子契約を拒否する取引先が多い場合は、紙と電子が入り乱れることでかえって業務負担が増えることにもつながりかねません。

自社の取引先がどのくらい電子契約に前向きになってくれるかを把握したうえで、メリットとデメリットを比較してから導入の可否を検討してみてください。

業務フローの変更が必要

紙の契約書から電子契約に切り替えると、業務フローの変更が必要です。

紙の契約書を使用している企業もあることから、すべての取引先で契約書の電子化ができるとは限りません。まずは検討段階で取引先に説明をおこない、対応してもらえるかを確認する必要があります。

また電子契約書の導入は、社内の業務フローにも大きな影響を与えます。とくに契約業務の担当者は、業務の流れが変わるため、導入する電子契約システムや新たな業務フローなどについて、明確に説明しておかなければなりません。担当者がイメージできていない状態で導入すると、業務に混乱が生じてしまい、かえって業務効率が低下する場合があります。

電子契約システムは、導入後のやり取りが円滑に進むよう、社内外の理解を得ながら導入しましょう。

電子契約サービスの選び方

電子契約サービスの選び方のコツは、以下の通りです。

取り扱うすべての書類に対応しているものを選ぶ

自社で扱う書類すべてに対応していないと、余計に手間がかかることにつながりかねません。電子契約サービスを選ぶ際には、自社が取り扱うすべての書類が対応しているかどうか必ず確認しましょう。

また、海外との契約が発生する企業の場合は、英文契約に対応しているかどうかも重要なチェックポイントです。

反対に、不要な機能が搭載されすぎていると、コストがかさむことにつながります。複雑な機能や対応内容が多いと、会社規模に見合わずサーバの負担にもなりかねません。極力必要なものだけに近いものを選ぶことが重要です。

社員にとって使いやすいサービスを選ぶ

電子契約を導入すると、業務の新フローを構築することが必要です。新フロー導入時はどうしてもキャッチアップに時間がかかるので、慣れるまでは余計に手間がかかることも考えられます。

どのサービスを選んでもある程度はじめにキャッチアップの時間は必要ですが、なかでも社員が使いやすいと感じるものを選ぶことが重要です。

誰でも直感的に使えるシンプルな操作性や、見たままに作業が進められるような使い勝手のよさを重視して選びましょう。導入前に、セミナーやトライアルを通じて機能と使い勝手の確認を十分に行っておくことがおすすめです。

また、ベンダーのサポートが手厚いと、操作でわからないことが起きたときにも教えてもらうことができます。

電子契約サービスを導入するときの注意点

電子契約サービスを導入するときは、以下の2点に注意しましょう。

  • 電子帳簿保存法に対応しているか確認する
  • 導入前には従業員の意見も考慮する

電子帳簿保存法に対応しているか確認する

電子契約サービスを導入するときは、改正された電子帳簿保存法に対応しているか確認しましょう。電子取引については、2022年に改正した電子帳簿保存法により、電子データでの保存が義務付けられました。改正された電子帳簿保存法では、要件が定められており、満たしていない場合には法律違反となる場合があります。

また、別途で法律に対応しようとすると、改正法に対応したサービスの導入や紙での保管が必要となり、余分なコストが発生してしまうでしょう。このような事態を避けるには、改正された電子帳簿保存法に対応した電子契約サービスの導入が必要です。

導入前には従業員の意見も考慮する

電子契約サービスは、製品によって搭載されている機能が異なります。高性能なサービスは便利ですが、あまりにも複雑な操作が必要だと担当者が使いにくく、スムーズに業務を進められません。

現在では操作性に優れた電子契約サービスも豊富ですが、価値観は人によって異なるものです。導入をスムーズに進めるには、導入する目的や得られる成果などをしっかり説明し、担当者の理解を得ることから始めましょう。

加えて導入する電子契約サービスについては、担当者の意見も取り入れつつ、使い勝手のよいものを選ぶことが大切です。

主な電子契約サービス

よく利用される電子契約サービスとしては、以下のようなものが挙げられます。

サービス名料金の目安主な機能
freeeサインスターター:税抜980円~/月Light:税抜4,980円~/月Light Plus:税抜19,800~/月Pro / Pro Plus:要問合せテンプレート登録ワークフロー作成電子締結文書管理API連携
クラウドサインLight:税込11,000円~/月Corporate:税込30,800円~/月Business:要問合せEnterprise:要問合せ電子契約締結2段階・2要素認証弁護士ドットコムによる電子署名・タイムスタンプアクセス制限複数部署管理機能
電子印鑑GMOサインお試しフリープラン:0円契約印&実印プラン:税込9,680円/月本人確認パック:税込22,000円/月セキュリティ・内部統制パック:税込55,000円/月署名機能(電子署名フォーム、タイムスタンプなど)文書管理ユーザー管理ワークフロー設定二要素認証
マネーフォワード クラウド契約スモールビジネス:税抜2,980円~/月ビジネス:税抜4,980円~/月31名以上法人向けサービス:要問合せ(※Salesforceとの連携が必要)テンプレートの登録契約書作成契約締結契約管理

電子契約サービスは、自社が必要とする機能が搭載された製品を選びましょう。また導入の際は、費用対効果の確認が大事です。必要以上の機能が搭載された高額な電子契約サービスを導入すると、余分なコストが発生してしまいます。無駄なコストを発生させないためにも、必要な機能については、あらかじめ社内で洗い出しておきましょう。

電子契約に関するQ&A

最後に、電子契約に関してよくある質問をピックアップしてまとめてみました。

Q. 英語の契約書を電子契約で交わすことはできる?

可能です。英文契約書は電子契約書で締結されることも多く、むしろ海外の方が電子契約の普及が進んでいます。例えばアメリカでは、2000年代から電子契約関連ソリューションが盛んに利用されているのが特徴です。

すでに国際取引では多くの英文契約書が使われており、英語による電子契約は幅広く普及しています。

Q. 電子契約のやり方は?

まずパソコンで契約書を作成し、メールのやり取り等で取引先と内容に合意します。合意できたら、システムを通じて電子署名した契約書を取引先に送付しましょう。

取引先が契約内容を確認し、問題がなければ電子署名をします。締結したらそのまま電子データとしてシステムに自動で保管されます。

電子契約はシステム上の手順に慣れれば簡単かつ迅速に契約を締結することができ、保管までスムーズに進めることができます。

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